自遊通信 No.68(2017 春)

発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ



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田舎、というより僻地という方が自遊学校来校者の実感に近いかもしれない。大都市からは確かに遠い。海辺なので釣人や磯遊びの人がたまに来る程度で、老人ばかりの小漁村はいつもひっそりしている。村内にはもちろん近隣に商店や食堂の類はない。欲しいものがある時は、10㎞以上離れた町に買いに行くことになる。
こういう田舎では家の修理などで業者さんを頼むのも思うに任せない。経費もかかるし。だから生活上必要なことは、できるだけ自分でしないと暮らしていけない。たとえば、村人は老齢でも畑で野菜を作り自給している。器用な人は小屋ぐらいなら一人で作ってしまう。我々も見習って簡単な修理や造作は自分でやるようになった。古い木造校舎はメンテナンス作業に事欠かない。自遊学校を始めた当初にやったのは日に焼けてくろずんだ校舎の外壁の塗装。ボロボロの壁板を金ブラシでこすって汚れを落とし全面新しいペンキを塗るのに1か月かかった。
雨漏りしてたら瓦を取り替えないといけない。学校は天井が高い。なので屋根も高い。もともと高いところは得意ではない。だから屋根の上に上るのは、できれば勘弁してほしいのだが雨漏りしているのを
見つけたら屋根に登らざるをえない。数年したら慣れたが、最初は怖かった。建物も人間も時間とともに古びる。いつまで屋根に上れるかな、と最近思う。太陽熱温水器の修理で屋根に上った時、眼下に広がる校庭がほんのり緑色に見えた。春の草が伸びてきた。また草刈りをしないと。自然に急かされて田舎の1日は過ぎていく。

  這いながら若草見入る屋根の上




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自遊学校は、 2019年も例年通り 春の連休中、開校します。

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