自遊通信 No.90(2025 春号)
発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ
自遊学校には人間のほかに猫が1匹住んでいます。名前はジャンコ。元ノラなので人懐っこくはありません。太り気味で顔が真ん丸なので、彼女が歩くと「ジャンコのムーンウォーク」と笑われます。
ジャンコは殆ど寝ています。怖がりなのでいつも人の近くにいて、昼はソファーで、夜はベッドの端で我々と一緒に朝まで寝ています。以前は早朝にネズミや野鳥を捕ってきて見せびらかしていましたが、最近は高齢のためか太りすぎのせいか、狩りはしなくなったようです。
猫の生活はシンプルです。空腹になったら親しい人間のところに来て「ニャー」と猫飯を催促します。満腹になったら、季節に合わせて、寒い時季は陽だまりや暖房器具の近くに、暑いときは日陰の涼しいところに、寝る場所を捜して寝ころびます。その繰り返しです。人間は、猫から見たら、食料と寝場所を与えてくれる存在です。猫の脳には前頭葉がないそうです。だから?猫は未来の心配をしません。
春は猫にとって最良の季節です。寒さが和らぎ、穏やかな日差しが地面を温め若草が一斉に立ち上がります。日の当たる校庭に出たジャンコは、若草を少し噛んでから、温い地面に大きな腹を伸ばし、誰もいない校庭を独り占め。見上げると校庭を囲む10本の桜の花芽がだいぶ膨らんでいます。今年も花見ができるね、ジャンコ。
ホーホケキョ陽の当たるいま日向ぼっこ