自遊通信 No.64(2016 新年)
発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ
以前この通信にも書いたが、昨年春から大阪で現代アートの小さなギャラリー「+1art」を始めた。新年は光のアート作品をつくる池田啓子さんの個展から始まる。ギャラリー内に60本のテグスを垂直に張り天窓から入る光と陰の移ろいを鑑賞するインスタレーション。
池田さんと話をしていて地球の自転速度の話になった。知人のスマホで調べたら、地球の自転速度は赤道で時速1600㎞、日本付近だと時速1400㎞ぐらいだとか。知人が驚いて言った。
「そんなすごいスピードで回転しているんだったら、それを感じる人がいるかもしれないね。」
「そう言われれば、ありうるかも?」
「でも、そんなこと感じてたら目が回りそう。」
このオチで一同大笑い。
地球は時速1600㎞で自転しながら太陽の周りを時速10万㎞で回っていて、地球を含む太陽系は時速86万㎞(秒速240㎞)で銀河系内を2億年かけて一回転してる。その銀河系は・・・。確かに目が回る。
その地球上の小さな島国の、さらに奥まった過疎地、高知県大月町竜ヶ迫にも、1月の冷たく乾いた空気を光らせて朝日が昇る。
今年はこの僻地の小村に新住人が登場した。千葉から移住した橋Mさんご夫妻。40歳代夫婦が老人ばかりの僻村に住むというので村の話題になっている。今までも移住希望者はいたが、結局実現しなかった。
この村は特産の干し芋の生産地だが、生産者の高齢化で前途が危ぶまれていた。橋Mさんはこの干し芋「ヒガシヤマ」を作って生計を立てようと、高齢の生産者に教えてもらいながら自分たちも作り始めている。
新年初めには初の試作品ができる。村は久々の明るい話題でもちきりだ。
裸木に星々の光降り積む