自遊通信 No.63(2015 夏)
発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ
ジョージ・オーウェルが「1984年」を書いたのは東西冷戦が進行した1948年。共産主義の台頭に資本主義諸国が警戒感を強め世界は新たな戦争の予感に包まれていた頃。「1984年」は近未来小説の体裁をとっているが当時の不穏な世相を反映して、抑圧的な体制下で苦闘する一市民の悲劇を描きベストセラーになった。
この小説は監視管理社会の到来を予見した本でもあり、全国民に番号をつけるマイナンバーの施行で近い将来その予見は現実となるかもしれない。
さて前置きはそのぐらいで、小説「1984年」と全く関係ない話を。1984年から6年後の1990年に自遊学校が始まった。老朽化した廃校を借りることになり、7教室あるからその半分を使って宿屋をやろう、と。
いま思えば浅はかな考えだった。高知市から西に自動車で3時間以上かかる僻地で、取り柄といえば海辺で自然豊かということだけ。ここで宿屋してもお客なんか来るわけがない、やっていけなくなってすぐ出て行くだろうと村人は冷静に見ていた。
それから25年。自遊学校25周年を記念してライブを開催することに。高知市のトランペット奏者津村敦と京都で活動しているバイオリニスト宮嶋哉行によるセッションを8月22日(土)の夕方5時から自遊学校で。お二人ともニューヨークで演奏活動をしていた実力派。すごい演奏が聴けることでしょう。
ジョージ・オーウェルがどんな音楽を聴いていたか知らないけれど同時代の作曲家にエリック・サティやシェーンベルクがいる。シェーンベルクは不穏な世相を背景に無調音楽を創始。伝統とかけ離れたその音は新たな「現代音楽」の始まりを予告していた。
耳を打つ雨垂れ太鼓ほうぼうに
津村敦(トランペット) x 宮嶋哉行(バイオリン)
日時 2015年8月22日(土) 17時~
場所 自遊学校
料金 500円
問合せ 自遊学校(j.gakko@gmail.com)