自遊通信 No.59(2014 夏)

発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ



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東日本で大雪のニュースが流れていた頃、大根の切り干しを作った。この辺りは暖流があたる沿岸なので雪はめったに降らない。3月になると大根や京菜は花をつけて菜の花畑になってしまう。花が咲く前に切り干しにしないと、すが入ってしまいまずい。
3~4日晴れが続きそうな時に大根を短冊状に切って干し網に並べる。お日様を身体に受けながら校庭の水場で大根を切っていく。小高い丘の中腹から見渡す視界の中で動く物は殆どない。
耳に聞こえるのは包丁が大根に入って、まな板に当たる音。野鳥の鳴き声。校舎の木枠の窓が風で微かにきしむ音。遠い風車のうなり。だいぶ離れた道路工事現場方向から金槌で釘を打つ音も。

校庭の周囲は10本の桜の木が立っている。もう少ししたら花で校庭が覆われるだろう。その光景を20年間見てきたが、今年はそれを見ることができそうにない。当校スタッフの野口ちとせが京都で個展を開く。4月の初めから中頃まで。私も応援に行くので、その間、自遊学校を留守にすることに。

野口ちとせは音をテーマにした作品を作り続けている。ここ10年ぐらいは実際に音が出る作品が多かった。今年の作品は音は出ない。For Listeningと名付けられた作品は「音を感じる」というモチーフで作られた平面・立体作品からなる。作品が音を出すのではなく作品に音を感じる?作品という対象に鑑賞者が対面することでイメージや記憶があらわれる。それは水の流れかもしれないし、ブランコで遊んだ思い出かもしれない、あるいは大根を切る音かもしれない。よくわからん? どんな作品かは見てのお楽しみ。
4月5日(土)はバイオリン奏者の宮嶋哉行さん出演のワークショップもあるので、ご参加を。

目を閉じて花の雨降る音を聴く

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