No.73(2019 春号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 


今年はイノシシ年。自遊学校がある海辺の過疎地では
年々人が減り、周囲の畑は耕作放棄地が増えて、イノ
シシやハクビシン、イタチ、キジの姿を見かけること
が多くなった。
数年前、不思議なことがあった。自遊学校は海に突き
出た出べそのような小山の中腹にある。出べそと陸に
は小さな橋がかかっていて、そこを通らないと自遊学
校には来られない。この橋は人一人分ぐらいの幅しか
ないので、大きな物資を運び込むのにいつも苦労する。
あるとき学校の周囲が掘り返されたような跡があるの
に気づいた。鍬かなにか使って敷地の際を線状に掘っ
ていったように見える。こんなことを、誰が? なぜ?
しばらくして謎が解けた。近所の人の話では、その頃
にイノシシの親が崖から落ちて死に、残された子イノ
シシが道路を歩いて近くをうろついていたという。
イノシシは用心深いから親がいたら道路を歩いたり、人家の近くには来ないものだが、親を亡くした子イノシシが狭い橋を通って学校まで上がってきて、餌のミミズを探して周囲を掘り返したのか。
これからますます人は減り、イノシシたちは増えるだろう。数十年後にはイノシシの数が人間より多くなっているかもしれない。いや、すでにそうなっているかも?

 崖の梅ヒトもケモノも通る道






 
  自遊学校は、 2019年も例年通り、
春の連休(4月末〜5月初め) および 7・8・9月の夏期間、開校します。




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