No.62(2014 春号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 





























花粉予報の季節になると思い出す。4年前の3月11日に青森県八戸市内にいた。建物内の戸棚や本棚のものがあらかた飛び出すものすごい横揺れが収まって外に出た。ひどい地震だったが周囲に立ち並ぶ家々は無事で倒壊したり破損した様子はなかった。幸い死傷者はいないようだった。
電気が止まってしまい信号がつかないので交差点付近は自動車がつかえて渋滞し、歩行者は自動車の合間をこわごわ横断していた。スーパーや商店はドアを閉めて休業状態。その前でたくさんの人が食糧を確保しようと並んで開店を待っていた。
徒歩で近くの川に行ってみた。木の枝やゴミに混じって大きな発泡スチロールのブイや艀の部材そして大量の泥が岸に打ち上がり、見慣れた川は様子が一変していた。自分の目を疑う光景もあった。小型漁船だけでなく大型の漁船まで岸辺で船腹を見せて横たわっていた。そこは河口から5q以上上流にあるので普段漁船を見ることがない場所だった。
停電したのでTVが見れずラジオで被災のニュースを聞いたが、岩手や福島の惨状は電気が復旧した4日後にTVを見て初めてわかった。そこには川岸に横たわる漁船を見た時以上に目を疑う光景が映し出されていた。自分の目で確かめたかったが、それが実現したのは1年後だった。

3月終わり近くになるとどこもかしこも雑草が勢いよく伸びてくる。校庭の草も日に日に大きくなる。草刈りは面倒だけれど校庭一面を覆う柔らかな青草は若々しく目にまぶしい。花粉症はご免被りたいが、いくつになっても春は心浮き立つ季節。さあ、もう一度。

  刈 ら れ て も 刈 ら れ て も ま た  春 の 草