No.55 (2013 新年号)     本年も宜しくお願い申し上げます

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 







































 

木枯らしが吹き始めたある日、突然CDプレーヤーが動かなくなった。一晩おいて様子をみたが、やはりダメ。ここしばらく機嫌が悪かったが、ついにお亡くなりになったらしい。まいったなあ。
薬物中毒のジャンキーが、薬物がもう無いと知ったときの気持ち? 音楽なしで2日もしたら禁断症状かイライラと落ち着かなくなってきた。ああ神よ、なんで私をこんな目にあわせるのですか?とつぶやいたり。無神論者なのに。
数日後、昼食を食べ終え校庭で日向ぼっこしてたら鳥の声が聞こえた。1羽だけじゃない。チュンチュン、カーカー、ヒュルヒュル、ピーピー・・・。耳をすますと、5〜6種の声が聞こえる。
目を上げると遠くの樹上に何羽か鳥の姿が見えた。600坪あるこの庭は彼らの遊び場なのだ。その声に聞き惚れていると、イソヒヨドリがすぐ近くまで来た。この鳥は春にピヨイクチナリピチォ〜 ? と良い声で鳴く。
野鳥の合唱を聞いて思い出した。メシアンという作曲家は鳥が好きで鳥の声に着想を得た曲をたくさん書いている。私が好きなピアノ独奏曲「鳥のカタログ」はCD3枚組の大作。この中にはイソヒヨドリの曲もある。
最近、鳥類は恐竜の子孫と確認された。6500万年前、地上を歩く恐竜は絶滅したが羽毛恐竜である鳥は生き残った。恐竜はそれ以前約1億年の間繁栄していたというから鳥類は1億6千万年以上生存していることになる。現生人類の歴史は25万年。 どんなに遡っても200万年ほど。
たぶん種の存続という点では人類は鳥類に到底かなわない。そう思うと庭で聞く鳥の声は何かを伝えているように聞こえる。メシアンもそう感じたのかしらん。ウゴルスキのソロピアノによるメシアン作曲「鳥のカタログ」は YouTube でも聞ける。お試しを。 

 千 億 の 朝 に さ ざ め く 寒 雀




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