No47 (2009 春号)       


発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 




先月、佐渡で飼育中のトキが9匹も殺されるという事件があった。その映像を見て、この動物はイタチだろうと思った。
細長い身体、俊敏な動き、9羽も殺す獰猛さ、イタチの特徴だ。自遊学校もイタチの襲撃を受けたことがある。設立当初のことだ。その頃、土佐ジローという品種の鶏を10数羽飼っていた。昼は放し飼いにして、夜は小屋に入れた。一時は20羽ぐらいいた鶏が広い校庭を闊歩しているのは愉快な光景だった。あちこちに彼らのフンが落ちていて注意して歩かないと靴がフンまみれになる地雷原みたいなありさまだったが。

当時お客さんがよく文句を言わなかったものだ、と今になって思う。こんな宿屋だから言ってもしようがないと諦めていたのかもしれない。ある夜、鶏が異常に騒いだ。小屋に行ってみると鶏が4羽死んでいた。食べられた形跡はなかったが首のあたりから血が出ていた。イタチがいると聞いていたので隙間はふさいだつもりだったが。
彼らは牛乳瓶の直径ほどの穴があれば侵入できると後で知った。イタチを見たのはこの時ではない。鶏を殺されてから数ヶ月後、畑の近
くの沢で小さな動物が動いているのが見えた。リスより大きくかつスマート、くりくりしたかわいい目をした動物が立っていた。その動物は気配を感じてこっちを向き、我々は目があった。初めて見るのに、イタチだとわかった。イタチはあっという間もなく走り去って消えた。トキを殺したのはイタチではなくテンだと後日報道で知った。テンもイタチ科だがイタチの3倍ぐらい大きい。佐渡のテンは野ウサギを駆除する目的で人間が50年ほど前に持ち込んだものだとか。
なんと、まあ。自遊学校で鶏を飼わなくなって10年以上になる。鶏小屋は物置になってまだあるが、傷みがひどい。
イタチはしばらく見ていない。

      
             


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