No.35 (2006 春号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 



 

 

 

 

 

 





















満開の桜を今年も見ることができた。先日、校庭にある10本の桜の木の下で友人4人と花見をした。花見の顔ぶれはいつも殆ど一緒。自遊学校が縁で知り合い、自遊学校のある大月町近辺に住むようになった人たちだ。
愛知県出身のスーさんとはもう10年以上のつきあいになる。最初自遊学校に居候しながら民宿業の手伝いをしてくれた。器用な人で、校庭に電信柱の大きな食堂ができたのはスーさんのおかげだ。いまは自遊学校から車で1時間ぐらいの四万十市に住み、生来の器用さを生かして機械修理や内装工事の仕事をして暮らしている。
スーさんの相棒ミキちゃんは高知市に近い春野町の出身。ミキちゃんにも何度か自遊学校の手伝いをしてもらった。宮沢賢治の童話や詩を愛し、映画にも造詣が深い。フィンランドの映画監督カウリスマキを教えてくれたのはミキちゃんだった。いまは四万十市の小病院で患者の食事を作る賄い方のチーフをしている。
今年60歳になったわりには元気で若々しい森田さんは埼玉県出身。長く北海道で暮らしたが、年齢を経るにつれ雪国での暮らしに不安を感じ、暖かい土地を求めて10年前に高知県に来た。森田さんも器用な人で、その上、歩く百科事典といわれるほど博識。大月町で便利屋を始めると、持ち前の技術と人柄で、特に年配の女性のアイドルになり、商売繁盛の様子である。もう一人、大地(おおち)さんは40歳、愛媛県出身。スーさんが住む四万十市で整骨院を4年間開いていたが、採算が合わず閉院して休養中。スーさんの紹介で先月から竜ヶ迫の空き家にしばらくの間住むことに。甘いもの大好きでカステラ1本を一人でぺろりと食べてしまう。花見の席にもお菓子をどっさり持ってきて桜餅2パック(6個)を平らげて宴席を盛り上げてくれた。

前にも書いたが自遊学校の桜は暖地にしては開花が遅い。その理由は当地が海辺で暖流の影響が強く、そのため寒暖の差が小さいためだ、と思っていた。ところが博識な森田さんが新説をもちだした。
水分が少ないためではないか、と。そう言われれば、自遊学校は小山の斜面を削って作った台地にある。水はけはかなり良い。周辺の桜が散る頃に自遊学校の桜だけが咲いているのも、森田説だと
説明がつく。さすが歩く百科事典。花の宴は笑いと話題が尽きないのであった。



桜花が咲く今時分になると、窓からの日射が豊かな色彩を放っていることに、最近になって気づきました。寒い冬の間には目をやることのなかったものにも陽光があたってきれいな影をつくるのです。
白い壁や床に見える赤や青や黄の影にも思わず春の訪れを感じたりします。
そろそろ、窓ふきにも精出さんと、なあ〜、憲さん? まやちゃん!春やもんなあ〜。
Chittose 

  Back Number