No.33 (2005 夏号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 





このところヘマが多い。今日は銀行に金をおろしに行った。数日前も この銀行に行ったのだが、通帳しか持っていかなかったら、この銀行はカードがないと引き出せないのであった。それでもう一度、バイクで20分かけて出直してきたのだ。今度はお金を引き出すことができた。
ところが、意気揚々と帰宅する途中で気がついた。これでは金額が少ない! 自遊学校の周囲10キロ以内には金融機関もスーパーも、無い。もちろん現金の自動預け払い機もない。出不精の私にとって現金は一車線のくねくね道を10キロ、ということは往復20キロ走ってやっと手にすることができる貴重品なのである。それなのに・・・今回は、自遊学校の賃貸料前期分6万円と生活費数万円を引き出すつもりだった。それが、何を勘違いしたか、気がついてみると私は5万円しか持って帰らなかったのだ。引き返そうかと思ったが、あいにく雨が降り始め、バイクでは無理だった。「明日があるさ」と強がってみたが、帰宅してびしょ濡れのシャツを脱ぎながらタメイキが出た。ついこの前は、自遊学校の電話が3週間にわたって不通になった。
原因は、やはり私のヘマ。
実家がある八戸に一人住まいの母親がいるので、私は年に3度ほど様子を見に帰っている。先月6月には2週間ほど八戸に滞在し、その前後は大阪の工房楽土(ちとせの仕事場)にいた。その3週間の間、留守電をセットしてきたのに、自遊学校の電話がつながらない状態になった。もうすぐ夏休み。6月は宿泊予約や問い合わせが多い。私は焦った。そのとき八戸にいた私は、急いでNTTに問い合わせた。原因はすぐにわかった。自遊学校は ISDN回線にしているの
だが、ISDN回線はターミナルアダプタ(TA )というモデムを介して電話線とつながっている。そのTAの電源を私は引っこ抜いてきたのであった。去年、TAが雷の影響で壊れて使えなくなったことがあった。今回出かける前の日もひどい雷が鳴っていた。また壊れたらイヤだなと思って、TAを含めた電気製品の電源を、出かける日に抜いてきたのだった。もちろん電話機の電源は抜かなかったが。NTTの係員は私がTAの電源を抜いてきたと言うと、それじゃあつながりませんねと言ってハハハと明るく笑った。つられて私もハハハと力無く笑った。
考えてみれば、その通り。ISDN回線の場合、TAを通さないと外部につながらない。それは私も知っていたはずだが、あのときは「雷ーTAー壊れる」とい う公式しか頭に浮かばなかった。6月の終わり、自遊学校に戻った私は、まずTAの電源を入れた。これで電話は復旧した。だが、年老いた私の頭の方はもはや 復旧しそうにない。

                                        (2005/07)




常世のくにへの廻り路
螺旋の階段 トン、クルリ
時の砂場に 遊びにおいで
  歩廊の占者/Chitose


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