No.23(2001 夏号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 




 


若い女性の声だった。
『お盆すぎたら、クラゲ出ますからね。怖いですね〜。海に行く人、気をつけてくださいよ〜、ホントに。」
ラジオのスピーカーから、そう言ているのが聞こえてきた。クラゲはこのところ人気があると聞いていたのだが、この女性 DJ はあまりクラゲがお好きでないらしい。当校のお客にも、そういえばよく訊かれる。
「これから泳ぎに行こうと思うんだけど、この辺ではクラゲは出ますか?」
私は答える。
「素人が吹く尺八の音」
「ハァ〜?」
続けて私が言う。その心は「出るときもあれば、出ないときもある」
   ◎

クラゲに刺されると痛い、クラゲはみんな 人を刺す、と思っている人が多い。 だから、クラゲを見るともう大騒ぎ。潮の流れによってはたくさん押し寄せてくることもある。そうなったらパニックだ。しかし、まぁ落ち着いて、落ち着いて。 強毒のクラゲは少ししかいない。日本の沿岸にいるクラゲの大部分は殆ど害がないか、刺されてもたいしたことはない。

私は12年間、竜ケ迫で泳いでいるが 幸いクラゲに刺されてひどい目にあったことはない。たまに小さなクラゲの群に取り囲まれてギョッとするが、被害はなかった。わざわざ捜して触りに行くこともないけど、クラゲだということで、そんなになんでもかんでも毛嫌いせんでもいいんじゃないかなぁ。クラゲで怖いのは、カツオノエボシとアカクラゲで、どちらも触手が長く、カサの大きさは10〜15cmぐらい。 だから、5cm以下のや30cm クラスのクラゲは、そんなに神経質に警戒しなくても大丈夫ではなかろうか。
もしも、カサの大きさが1mのクラゲがいたら、どうしよう?その時は紐つけて引張って持って帰りましょう。美味しいのよ、これ。中華料理に使うクラゲというのが、このエチゼンクラゲという大クラゲ。ただし重さが150kg もあるそうだから1人で持って帰るのは無理かもね。この大物は毒を持つクラゲではありません。念のため。クラゲの他に当校のお客によく質問されること。
「これって、食べられますか?」
釣りや磯遊びに行って、カラフルな魚や見慣れない貝とかウニとか、持って帰ってくる人が多い。私の答。
「食べてみたら? 毒ないよ大丈夫」
知らないということは楽しいものだ。食べたことのないものを口に入れるときのあのトキメキ。恐れと期待に身体の全感覚が気をつけ!して一点を見つめる。あんなワクワクする瞬間は、そうあるものじゃない。どんなごちそうも未知の味の美味しさには敵わない。たとえそれが、結果としては吐き出すほど不味いものであったとしても。




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