No.37 (2006 秋・冬号)

発 行 自遊学校  文/河原木憲彦  絵/野口ちとせ 















夜の空にオリオン座が見えるようになった。蝶ネクタイのようなオリオンが東の空から上がってくるのを見ると、いつもその大きさに圧倒される。そして冬の到来が近いことを知らされる。この夏は夜になると天の川を見るのが楽しみだった。今年の夏、私は一つの新聞記事を発見した。そこには、こんなようなことが書いてあった。

「周知のように天の川は、銀河の外周方向を銀河内部の地球から見たときに、星の集積が薄い帯状に
なって現れる現象である。」知らなかった、、、、、、。周知?羞恥?50代半ばになって、天の川が何であるか私は初めて理解した。銀河系がレンズ状になっているということは知っていたし、地球が、その銀河の中心から少し外れたところに位置することも知っていた。そうであれば、地球から銀河の外縁の方を見たら、たくさんの星が重なって見えるはずだ。レンズ中央〜外縁を結ぶ線と直角方向には星の数がそれほどないから暗く見え、外縁方向は明るい帯状に見えるだろうと想像できる。

その記事を読んだ日の夜は晴れていた。8時半頃だった。私は校庭に立って夜空を見上げた。視界を左右に横切る天の川がはっきり見えた。そのときの思いをどう伝えたらいいだろう自遊学校は星の観察には向いていると思う。海辺の高台にあって視界が広いし、人家が少ないので人工照明も少ない。広い校庭から上空を見上げると文字通り満天の星。そこに天の川がほんのり明るく浮き上がっていた。
あれが銀河の縁。そのとき私は自分が宇宙空間に浮かんでいることを実感した。銀河系が実在することも、それがどういう形で宇宙に存在しているかも理解した。こんな銀河がこの宇宙には無数にあるって?? このとき極小の私と極大の宇宙が、私の中で初めて出会った。無限に向かって私の意識は一瞬解き放たれた。天の川を見上げながら、私は歓声を上げ、くるくると回転していた。 

                                      (2006.10)


現在、宇宙にはざっと1000億個の銀河があるといわれてます。その中の3分の2は、天の川銀河のような渦巻き型なのだそうです。でも、つい100年程前までの天文学者たちは、地球のある銀河、つまり「天の川」銀河しか知らなかったとか・・。
校庭で夜空を眺めていると、自分が球状の大地に立っているんだ!と実感することがよくあります。「そんな、大げさなことを言って!?」と思われるかもしれませんけど、一度試してみて下さい。
Chitose 


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